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28.占星術の信憑性 [星空への招待]

 ちょっと硬いタイトルを付けましたが、雑誌などでよく見かけるいわゆる「星占い」は、どの程度信用できるのかを考えてみたいと思います。どういう訳か各種「占い」への関心は男性よりも女性のほうが高いようですが、宗教観の違いからか、日本では西洋ほど本気で参考にする人は多くはなく、現実の影響力はほとんどないと言ってよいでしょう。
 この『マガモ新聞』が発行される頃が誕生日の人は「ふたご座」になるわけですが、これは星空の中で太陽が何座にあるかで決まり、その通り道(=黄道)にあたる12星座を牡羊座から順に、およそ1ケ月ずつ振り分けています。惑星も黄道12星座のなかを移動していきますので、それらの配置や“相性”が運命・性格を左右するとの考えから、紀元前6世紀ころ、バビロニアの人々の天体観測から発祥したものです。ですから、天体の運行を正確に観測するという出発点は「天文学」と同じで、そこまでは科学的といえます。

 

 しかし最近の占星術は、娯楽化していると言ったら言い過ぎでしょうか、そこからどうして「今日の貴方にラッキーな数字」とか色、食べ物などが導き出されるのか根拠に疑問を感じます。てんびん座とみずがめ座はバランスのとれた性格の人が多く、いて座の人は誠実? 「さそり座の女」とひとまとめにできるでしょうか? …生まれつきの星座によって特定の性格になるなんてあり得ないことです。心理学者のシルバーマンは1600人の学生を対象に、誕生日によって「星座」に分け、性格との関係を調査しましたが、何の関係もなかったそうです。また、2978件の結婚と478件の離婚について、占星術でいう星座による“相性”の良し悪しを調べましたが、相性のよい結婚がとくに多いわけでもなく、相性が悪い星座どうしの離婚が多いわけでもない、という結果が出ています。

 

 詳しい内容は私も知りませんが、最近になって従来の12星座に加え、13番目の「へびつかい座」が発見されたことによって、あなたの運勢が変わる! とうたった占星術の本が流行しました。でも、12星座には入っていなくとも黄道が蠍座と射手座のあいだで一部“蛇遣座”を通っていることは前々から知られていたのですから、普段から星座に親しんでいる方にしてみれば、なぜ今さら? と感じます。軌道が黄道から少しずれている惑星が12星座以外に入ること時々あり、不吉な現象とは言えません。1999年に惑星の配置が十字架の形となり(グランド・クロスといいます)、そのとき地球は破滅する、という話もありますが、その真偽は2年後明らかになるわけです。
  「星占い」の楽しさを否定はしませんが、「不幸な星の下に生まれた」という言葉に象徴されるように、それを“運命”と決めつけ、科学的根拠のない忠告を過信するのは避けたいものです。

 

 

「マガモ新聞」No.149(1997年5月29日、上高地ビジターセンター発行)より


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 テレビの占星術は単純化しすぎ

 テレビで取り上げられる12星座占いは、人間の性格を見た目だけではんだするようなものです。一人の人間でも、友人といるとき、会社や学校にいるとき、家族といるときなど、いろいろな顔があるように、占星術も、ある特定の星が、12宮のどこ位置し、自分の生まれた時間帯には星空のどの位置にあったかなど、いろいろな要素を加味し、さらにその星がどのような形で力を発揮するかなど、いろいろ計算したやるモンです。
 ま、だからといって、どれだけのものかといわれると私も答えに窮しますが。
by  テレビの占星術は単純化しすぎ (2007-03-15 20:57) 

asao-n

10年前に書いた話なのかーと感慨深い?です。

あくまで「娯楽」として楽しむのはよいと思うんですが、科学的、天文学的にそうなんだ~、と誤解しちゃいけませんよという想いがあります。
天体の位置とか一部にそれらしいデータを使うところに惑わされがち。
占星術師氏の営業妨害をするつもりはまったくございませんが・・・
by asao-n (2007-03-18 22:44) 

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