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6.がんばれ! バイオ君 [星空への招待]

 あまり気持ちのいい話題ではないかも知れません。ご注意下さい。
 私たち自然公園美化管理財団注:執筆当時の名称です)が管理している公衆トイレは、下は大正池から、中の瀬・ウェストン園地・バスターミナル・河童橋・小梨平・明神・徳沢と、奥行き約11kmの範囲に8か所ありますが、特に春から夏にかけて頭を悩ますことに、ニオイとハエの発生が挙げられます。
 いまは梅雨を迎えて気温も低いため、ひと安心といった時期なのですが、これから一日に何百人、何千人という単位で利用者を迎える夏の最繁忙期を控えて、効果的な対応策はないものかと日夜(?!)、考え続けています。強力な薬品を使うという方法もないではありませんが、環境や施設そのものへの影響、時間的制約等の課題もあって安易に選択できないやり方です。
 上高地では現在、簡易水洗を含めてほぼすべてのトイレが水洗式となっていますが、ただ流れているように見える“水”にじつは秘密があります。私などは“バイオ君”と呼んでひそかに声援を送っているのですが、この水にはバイオ、つまり微生物が目には見えないけれど溶け込んでいて、そのバクテリアの働きによって匂いの元となる成分を分解してもらおうという試みです。バイオなら自然環境への悪影響も心配いりません。
 ただし、そうは言ってもバイオ君の分解能力にも限界があります。夏の上高地のように極端に使用頻度が高くなると、どうしても彼らがいくら頑張っても追っつかないという状況になってしまいます。私たちも毎日の清掃など、最大限の努力はしていきますが、利用者の皆さんもあとに使う人のことを考えて、清潔な空間の維持にご協力をお願いしたいと思います。
 オープンなスペースですから、もう一方のハエさんについては外からも人ってこられる以上、完璧な防御法はないとも言えます。標高3,000mの稜線上でもハエに出会います。その逞しさを讃えるべきでしょうか… 

 そういえば、星空の中にもハエは隠れています。
 春の星座ですし、上高地からはまったく見ることはできませんが、天の南極近くに“はえ座”というのがあるのです。しかも私たちの憧れの星座・南十字星のすぐ下に。どうしてそんな星座を作ったのか理由を知りたいところですが、星座絵図を開いてみるとまさしく「蝿」。美しいものの傍に彼らの姿あり、は天界も地上も同じなのでした。

 

南天のはえ座付近

 

「マガモ新聞」No.127(1996年6月18日、上高地ビジターセンター発行)より


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